「昭和探求館」その3
―語り継ぐ昭和とは―

日本軍には、米軍に見られるようにな、静態的官僚制にダイナミズムをもたらすための、@エリートの柔軟な思考を確保できる人事教育システム、Aすぐれた者が思い切ったことの出来る分権的システム、B強力な統合システム、が欠けていた。そして日本軍は、過去の戦略原型には見事に適応したが、環境が構造的に変化したときに、自らの戦略と組織を主体的に変革するための自己否定的学習ができなかった。
日本軍は、独創的でかつ普遍的な組織原理を自ら開発したことは無かった。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・・・・

これまでの成長期にうまく適応してきた戦略と組織の変革が求められているのである。とくに、異質性や異端の排除と結びついた発想や行動の均一性という日本企業のもつ特質が,逆機能化する可能性すらある。
さらにいえば、戦後の企業経営で革新的であった人々も、ほぼ40年を経た今日、年老いたのである。戦前の日本軍同様、長老体制が定着しつつあるのではないだろうか。・・・・・・・・・・・・・・・・

日本的企業組織も、新たな環境変化に対応するために、自己革新能力を創造できるかどうかが問われているのである。

(「失敗の本質」巻末のページより抜粋)



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敗因など

「失敗の本質」は昭和59年の初版本です。「日本軍の組織論的研究」が示すように経済界を初めとして組織論としてブームとなった。平時では機能しても危機が生じた時は日本軍が露呈したように組織的欠陥を現代の組織一般が抱えていないか、今日的な課題に迫る。陸軍海軍それぞれ3つずつ失敗した作戦を検証しています。
別宮氏の本は統制派の本質は「統制経済=官僚至上主義=共産主義」であったことが日本を滅ぼしたとする。


山中氏の本は総力戦の準備が整わないうちに戦争に突入して行った、日本経済の脆弱な実態を明らかにしています。


堺屋太一氏といった方も執筆しています。
戦場は何が起こるかわからない訳で事象の推理・判断ひとつで勝てる戦場でも負け、負ける兵力でも勝てるのは古今東西戦場の真理です。後知恵で言うのは簡単ですが・・・、でも何を反省すればよかったのかを調べることは大事です。

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